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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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歴史新書y
( 洋泉社・2011.10)

こんな感じで、いつもショヒョってます……。
P1030192.jpg

引き続き、江戸本です。
これまで「江戸サイコー♪」みたいな書評が多かったわけですが「いいことばっかり」は有り得ない。
ダークサイドも見ておかなければ…ね。

本書は、もと幕臣が語るリアルなバクロ話が満載です。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 人のつながりの強さやエコ社会で注目される「江戸」だが、良いことばかりではなかった。
本書は江戸のダークサイドに注目する。
長きに渡って存続したシステムが、行きつくところまで行き尽くした江戸末期。
当時の官僚・公務員の立場だった、旗本・御家人に何が起きていたのか?

 昌平坂学問所の教官を務めた経歴のある、旧旗本の大八木醇堂は、晩年の明治半ばに、大量の見聞録を書き残した。
そこには「諸種の歴史事典に記されていない幕府の内情や役人社会の細部まで」(153頁)が明らかにされている。
この『醇堂叢稿』を中心に、私的な日記や手紙などから、驚きのエピソードの数々が紹介される。
研究者しか知り得ないような、興味深く貴重なエピソードが一般向けの新書で気軽に読めることは嬉しい限りだ。

 
 醇堂いわく「柳営の制度、百事迂遠に似て児戯に類するか如き事多し」(81頁)。
(振り返れば)幕府の諸制度はなんとも非効率的で遅れていた、いう意味だという。
愉快なエピソードもあるが、武士らしさのカケラも感じられない恥知らずなエピソードがほとんどだ。

 お家断絶を逃れるための出生年齢詐称(万一、17歳までに跡継ぎが死亡すると相続できないため)や、本人死亡後もそれを隠して俸禄を身内が何年も受け取り続けたり、職場での陰湿なイジメから通勤拒否に陥ったり、またはキレて同僚を殺傷したり、平然と賄賂を要求し受け取って恥じる様子もなかったり……。
武士のモラルはいったいどこへ?

 こうした馴れ合いと隠避の慣習は、すべて周りも承知の上だった、という。
醇堂は「内実をじっくり吟味すると、幕府の制度も捨てたものではない。それどころか、実によく考えられているものが多い」とも、書いているそうだが……そうだろうか?
何やら、昨今、社会問題となった事例にそっくりなことばかりで、背筋が寒くなる思いだ。
こんな状態は長くは続かず幕府は滅亡したことを、まさに「末期症状」であったことを、わたしたちは知っている。

(ビーケーワン投稿 2012.01.31 839字)


あの「遠山の金さん」も出生年齢詐称で、実年齢より12歳も「老けていた」のだそう。
勝海舟の父親は道具類の売買をして生活費を稼ぎながらシューカツに励んだけど、実らないまま37歳で家督を息子に譲ったとか。
何年(何十年?)シューカツしたんでしょう……?
酔っぱらいの演技をして権力者の屋敷の溝にわざと落ち、自分を印象づけたヒトもいたとか。もう、何でもアリ。

シューカツが実らずに困窮をきわめ泣き暮らす幕臣がいる一方で、役得で贅沢三昧のヒトも。
よく時代劇にも出てくる、お伴が担ぐ「挟み箱」ってありますよね。
そのふたがしまらないほど(リアルだ!)、ワイロをたっぷりせしめたり……。
逆に「役損」もあったとか。持ち出し。それもヤダよねえ。

「こんなシステム、おかしい!」と考えていた方もいたそうですが、そういう声はオモテには出ないもの。
おかしい。絶対におかしい。でも、言えない。言ったところでムダだしぃ……。そんな感じ?

読めば読むほど、今にそっくり。どうしよう?何を学べばいいのだろう?
ちょっと暗~く考え込んでしまいますが、この本の最初の方にちょっとだけ載っていた「笑える」話は、もう抜群に面白いです。

いろいろあった、それでも、やっぱり江戸が好きです。




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導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
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