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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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中島京子『FUTON』(講談社文庫・2007.04・初出2003.04)

先が気になって気になって、久しぶりに読み終わるまでは眠れない小説でした!
中島京子、直木賞作家とは知っていましたが、これがデビュー作なんてスゴイなあ。
大らかに見えて、実はスキのない緻密さ、律儀さがステキ。
「蒲団の打ち直し」っていうタイトルが、もう、抜群にうまい!

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 田山花袋の明治の『蒲団』と中島京子の平成の『FUTON』を揃えた。
まず『蒲団』を読了し、たくさんの「?」を抱えながら『FUTON』に掛かる。

 実は中島京子作品は初めてだ。ヒヤヒヤしながら読み始める。
1ページ目半ばで、早くもアタマの中にOKサインが出た。読み進むほどに安心感が増す。

 メインストーリーは『蒲団』を連想させる内容だ。そこに「蒲団の打ち直し」なる小説内小説が織り込まれる。
主人公は日本文学専門のアメリカ人教授という変わり種。授業や講演会という形で自然に『蒲団』の解説が入るのは嬉しい。

 著者のものがたりは巧みだ。何でもない日常が著者の手にかかると、とびきりの非日常に化ける。

 95歳の老人ウメキチは繰り返し同じ夢を見る。毎度同じセリフで、あいまいに途切れる。途中、うっかり退屈しかけた。だが「果てしない繰り返し」「あいまいさ」こそが95歳の脳内そのものだ、と思い当り背筋がひんやりした。

 「蒲団の打ち直し」部分はさらに見事である。読むごとにパズルのピースが「くっ」とはめ込まれる爽快感がたまらない。
「そう、そう思った!」「あ、それは気がつかなかった!」「そこまで想像の羽を広げるの?」などと一人ごちながら、実に楽しく読んだ。

 最終盤で主人公は、友人になぜ花袋の『蒲団』が好きなのか?と問われる。
その答えは……ああ、このセリフを日本男子が発するわけにはいくまいよ、主人公は中年アメリカ人男性しかなりえないのだ!と一気に腑に落ちた。

 読後感がまた素晴らしい。それは充分に干した蒲団にくるまれたような安堵感だ。
人がみな愛おしく思え、明日が少し待ち遠しくなる。

 『蒲団』と『FUTON』を同時に読める、21世紀に生きる幸せを心からかみしめる。
ぜひ、2冊セット販売して欲しい!付録は、ミニチュア蒲団、またはリボンで!(注;付録は選べません)

(2011.06.20 ビーケーワン投稿 794字)
 

これも二倍以上あったのを、死ぬ思いで800字以内にしました……(大汗)
ウメキチの夢、引用したかったのですが泣く泣く諦めました。

読み終わってから、もう一度花袋版『蒲団』を読み返して大いに楽しみました♪
「蒲団の打ち直し」もう最高!
妻・美穂と若い女弟子・芳子の対決場面は大迫力です!
また、『蒲団』では語られない主人公と妻の「夫婦間の齟齬のようなこと」を見出すあたりに著者の洞察の鋭さを感じました。

それにしても……私小説だ、自然主義だ、〇〇派とか、小説自体の面白さとはまったく関係ないですね。
文学史や作品背景を学ぶことが、逆に作品を純粋に楽しむ足枷になるケースがあるのは残念。
発表された当時は「本邦初の試み!」とか「先鋭的!」とか、もてはやされた作品であっても、今読んで面白くなければ、もう、どうしようもない。逆のケースもあるでしょう。
50年、100年たっても文庫に残っていて読み継がれている作品は、なにかしら「持っている!」のでしょうね。
そこを探し当てられるようになりたいです!




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導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
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