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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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八月下旬に『或る「小倉日記」伝』の舞台、小倉を訪ねました。

主人公・田上耕作が、森鴎外を知る人を求めて小倉の街を訪ね歩くシーンはとても心に残りました。
彼の一歩は普通の一歩ではない。生まれつき不自由な足を難渋しながら進める一歩であり、街を行き交う人々の好奇と嘲笑を一身に受けずには進まない一歩でした。
刻み込まれた「一歩」の重さは、はかりしれない。
彼の足跡の残像が、小倉の街にまだ残っているのではないか。そんなことを思いました。

訪ね行く先の住所とそこまでの行程がひとつひとつ具体的にはっきり示されていたことも、興味を持った一因かもしれません。自分も小倉の街を一緒に歩いているような疑似体験。
耕作と母・ふじが住んでいた、すぐ前は海の「博労町」はもう埋め立てられて残っていないよう。
鍛冶町の鴎外旧居。香春口のカトリック教会。舟町の妓楼。
「でんびんや」さんが立っていた街角はどこだろう……。

こうして見ると『或る「小倉日記」伝』は、たいへん優秀な小倉ガイドブックなのかもしれませんね!(昭和27年版ではありますが)

新幹線で小倉に入り、まず、向かったのは「松本清張記念館」です。
小倉城の敷地内にあります。いい場所ですね!
当日は雨。びちょびちょだったので、建物の前での記念撮影はできず。
代わりにJR小倉駅構内の電光案内板を。

P1020569.jpg

左上に「知性が渇いたら、来てください」ってありますよ~。
この夏の猛暑で、もうからっからで、ここまで来ちゃいましたよ!清張さん!

「松本清張記念館」「小倉城」「小倉城庭園」の3施設共通入場券(¥700)を購入。
コレ、だいぶ、お得ですね!
P1020920.jpg

…わたしの清張さんとの出会いは、ちょいと早めで小学4~5年生のころ。
母が大ファンで、家にたくさん本がありました。同じ本を何度も繰り返し読みましたっけ。
犯人もトリックもわかってるのに繰り返し読んでいたのは、緻密で破綻のないドライな作風が当時から自分に合っていたのでしょう。ホンモノの匂いを無意識に嗅ぎ当てていたのかも。
その後いろんなミステリーを読みましたが頭のどこかに、清張さんは別格だな、という思いがずっとありました。
ただし、家にあった清張モノはミステリー系短編のみで、歴史ものや純文学系は皆無(←母の趣味)。
ゆえに『或る「小倉日記」伝』や『西郷札』に出会う機会はなく、以来、〇〇年、清張さんのことも忘れかけて日々を過ごしていました。
そこへ、にわかに降ってわいた 2011マイ・清張ブーム!不思議なめぐりあわせです。

さて、いよいよ入館します!
雨のせいか、平日だったからか、誰もいませんでした。
全館、ほぼ貸切状態。

清張さんの生涯と日本の歩みが同時に見られる、長ーい年表がすごい!
明治42年生まれの清張さん、その生涯は、まんま昭和史です。
ところどころ、当時のニュース映像が見られたり。
かなり面白くて、このコーナーだけで、一時間以上いました。
清張さんにたいして興味のない夫も、わたし以上に熱心に観ていました。

メインは東京・杉並にあった自宅再現展示です。
自室ではなくて自宅を再現しているんですよ!巨大だ!
吹き抜けになっていて、二階からも見られるようになっています。
膨大な蔵書にびっくり。図書館以上です!
ただ、展示されているだけなのはもったいないような。

自宅の航空写真があったのですが、清張さん、お庭に出て、ちゃっかし写っているのが愉快。

なかなか見応えある展示でした。地下の喫茶室で一休み。
ここにある全自動コーヒーマシンが面白かった!豆挽くところからドリップまで全自動です。
さすが、ものづくりの街、北九州。
コーヒー、夫が飲みましたが、ちょっと薄かったって。

続いて、すぐ近くの「北九州市立文学館」へ。
こちらは図書館の敷地内です。
P1020926.jpg

一階で開催中の企画展は「小倉原爆」について。
そう、実は長崎に落ちた二つ目の原爆の第一目標地はここ、小倉だったのです。
天気が悪くて目標が視認できず、長崎に変更になったのでした。ちょっとした運命のいたずら。
普通に生活していた庶民が犠牲になった原爆の悲劇を、あらためて考えました。

二階が北九州ゆかりの文学者の展示コーナーです。
思っていた以上に、ゆかりの文学者いますねえ。
北九州って意外と文学的な土地なのでした。
林芙美子、杉田久女の展示などを興味深く拝見。
翌日は若松に行く予定なので、火野葦平の予習もしっかりと。

ここでの収穫は、何と言ってもホンモノの田上耕作の写真が見られたこと!
思っていたより、イイオトコですよ!
『或る~』の田上耕作はだいぶ脚色されていると聞いていたので、驚きはしませんでしたが。

その後、小倉城に登って天守閣から街を眺めました。
P1020551.jpg

ここが、鴎外が、田上耕作が歩いた街、小倉かあ……。
埋め立てられて海岸線は往時の面影はなく、街もきれいになって様子はすっかり変わったようです。
でも、山の稜線は変わらないはず。
耕作が訪れた護聖寺、そして福聚禅寺のある山はどっちだろうなあ……。

小倉駅真ん前の「森鴎外・京町住居跡碑」
P1020675.jpg

紫川、鴎外橋たもとの「森鴎外文学碑」
P1020687.jpg

…今回、訪れた文学館というトコロ、学校の行事とかで、今までイヤイヤ来たことしかありませんでした。
ちゃんと本を読んで、自分の意志で来ると、なんて楽しいんでしょう!
そして見ていると、あっという間に時間が過ぎて、なんて時間が足りないんでしょう(涙)。

「黒い霧のドキュメンタリー映像」も「北九州ゆかりの文学者オリジナルビデオ」も見きらんやったぞ……。

だって、焼きうどんも食べなきゃいけないし、旦過市場だって見なくちゃならないし。
角打もあるし、栗饅頭もあるし、シロヤもあるし。小倉って罪深い街。

まあ、いいのです。小倉の空気が吸えただけでも。
小倉よかとこ~ ♪ また、来るよ~ ♪

北九州 文学の旅 * 若松 へ 続きます。




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導在 あわい

Author:導在 あわい
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