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名作文学いらっしゃいまし
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山本作兵衛『炭鉱に生きる 新装版 地の底の人生記録 画文集』(講談社・2011.07)

北九州 書評 シリーズ 第三弾 !

突然、もたらされた山本作兵衛さんユネスコ世界記憶遺産登録のビッグニュース!
前述の通り、一目でトリコになったわたしは画文集を探しましたが手に入らず。
本書の復刊を待ちわびていました!

こういう、歴史をはらんだ美術ジャンル?の本って大好きですっ!
もう、むさぼり読みました。
ちょっと残念なのは図版が小さくて作兵衛さんが書き込んだ文章が読めないところが多いこと。
実物大の画文集が出ないかなあ?←出るみたい?です♪
または江戸東京博物館あたりで「山本作兵衛展」やってくれないかなあ?

さあ、わたしがやってしまった、しょうもない間違いはどこでしょうか?!

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 一度見たら忘れられない絵だ。
心の深いところをつかまれ、揺さぶられるような力を感じる。
山本作兵衛氏の絵画と関連資料(日記、原稿等)が2011年5月ユネスコの世界記憶遺産に登録された。日本では初である。この画文集(1968年刊)は、登録の快挙を受けて、新装版として復刊された。

 新聞やテレビで報道されるまで、わたしは作兵衛氏のことをまったく知らなかった。
最初に目にしたとき、若手が描いたレトロ風現代アートかな、と思ったほどだ。

 作兵衛氏は明治25年(1892年)福岡県生まれ。
7歳から父母や兄弟と炭鉱(ヤマ)に入り、以来五十余年、ヤマで働き続けた。
仕事のため、ろくに小学校にも行けなかったという。わずかにヤマの外で働いた期間に努力を重ねて字を習い覚えたそうだ。

 「これ以上は働かれんほど働きとおしてきたのだから、それでなお米代もないとすれば、おれの責任ではのうて、外の責任だと思うておりました」(38頁)
重いことばである。

 炭鉱が次々と閉山した昭和30年代初頭、作兵衛氏は絵を描き始める。66歳からの創作だった。
炭鉱は閉山したあと、地中から動力機、運搬機などを引き上げる。その監視の夜警をしながらの創作だったという。
人生そのものだったヤマが終焉を迎える様子を目の当たりにしながら、記憶だけを頼りに二千枚に及ぶ絵を描き、画面に丹念な解説を書き込んだ。

 作兵衛氏の絵の不思議な魅力をどう言ったらいいだろう。
ヤマを知らない孫に労働や生活の様子を教えたい一心だったという。
その無垢な思いが画面や文章にほとばしっている。

 描かれるのは作兵衛さんが若いころ、明治から大正にかけてのヤマの様子が中心だ。
その時代は機械化前でほとんどの作業は人手によっていた。
なんとなく男の職場のように思っていたヤマで、女性と子供が当たり前のように働く絵は衝撃的だ。
男性はふんどしひとつ、女性も半裸。子供の背にはさらに幼い乳飲み子が背負われている。

 現場で作業をしながらも、動力、運搬、換気、排水等のヤマ全体のシステムを系統立てて理解していたことは驚きだ。
しかも、記憶だけで正確に画面に写し取っている。これは相当にすごいことではないだろうか。

 そうした「記録」としての価値もさることながら、絵としての面白さ、美しさに目を奪われる。
人物に表情は乏しいが、それが逆に多くを物語っている気がする。
逆に、持ち物や衣服など、細部の描写にはこだわりが感じられる。
女性がかぶる手ぬぐいや着物、男性の入れ墨の柄は、ひとりひとり異なり、カラフルで美しい(入れ墨を美しいとは可笑しいかもしれないが)。
過酷な労働の実態、閉鎖的な生活を描いて、悲惨さや陰湿さがないのだ。
特に女性は美しく描かれていて、神々しささえ感じる。宗教画に近いようにも思う。

 病気やけがで働けなくなった仲間がいれば、講でお金を集めて援助した。男も女もひとつの風呂に入って汗を流し、ヤマを訪れる芸人や行商人を囲んで笑い合う。一方で、凄惨なリンチや悲惨な事故も日常茶飯事だったヤマ。
画面には悲痛なことばも並ぶが、生涯をすごしたヤマを、そこで働く人々を、作兵衛さんは心からいとおしく思っていたのではないだろうか。

 作兵衛さんと画文集は素晴らしい贈り物だ。
急激な近代化の陰で、炭鉱だけでなく、どれだけ多くの過酷な労働の場が足跡ひとつ残さず消え失せたことか。
これは、そうしたすべての労働者たちの失われた記憶でもある。

(ビーケーワン投稿 2011.09.29 1451字) 


途中から「作兵衛氏」「作兵衛さん」になっちょりますがな!
相手はユネスコだしな、とおごそかに「作兵衛氏」って始めたのに、途中から馴れ馴れしく「作兵衛さん」になってるって……。
こういう間違いは「表記のゆれ」といいまして、文章を書くうえで、もっとも恥かしいミスです。

普段は投稿する前に何度か読み返すので気がつきます。
なぜ、今回はそのまま、投稿してしまったのだろう(涙)。
天国の作兵衛さん、ユネスコ登録に尽力された方々、ビーケーワン書店さん、申し訳ありませんでした。
これからはよーく気をつけます。
あれ?あらためて読むと「炭鉱」と「ヤマ」の使い分けもあやしいところがある?ような…。

それは、さておき……。
わたしはまったく知らなかった作兵衛さん、福岡県出身の知り合いたち(40代後半~50代前半)に聞いてみたら、昔、学校で習った覚えがあるそう。
まだまだわたしが知らない素晴らしい偉業が世の中にはわんさと眠っているんだ~。
そう思うと生きるはりあいがあると思いました!




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導在 あわい

Author:導在 あわい
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