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名作文学いらっしゃいまし
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藤原道長『御堂関白記』(編;繁田信一・角川学芸出版・2009.06)

5月12日の新聞で藤原道長の『御堂関白記』ユネスコの「記憶遺産」に推薦されることを知りました。
2013年の登録を目指すそうです。

ユネスコの「記憶遺産」…恥ずかしながら知らなかったのですが、後世に残すべき価値ある歴史資料の保全を目的としているそうで、「フランスの人権宣言」や「アンネの日記」などが登録されているそうです。

藤原道長の日記って…学校で習いましたっけ?どんなのだったっけか?記憶がまったくない…。
頼りの『日本文学名作事典』にも載ってないのですが。
それなら読んでみましょうか!
『御堂関白記』をこのブログ最初の記事にします!

選んだのは「角川ビギナーズ・クラッシックス 日本の古典」シリーズです。
文字通り、まっさらな初心者に古典の扉を開けてくれる入門書です。
本書の場合、日記一日ごとに、現代語訳、原文読み下し文、編者による解説、原文(漢文白文)と併記された、ごく親切な構成になっています。
古典初心者のわたしも難なく読み進めることができました。

以下、ビーケーワンに初投稿した書評です。
内容が一部上記と重複しますがご了承ください。


 2011年5月、藤原道長の『御堂関白記』がユネスコの「記憶遺産」に推薦されると、新聞で目にした。2013年の登録を目指すとのことだ。

 「この世をば わが世とぞ思う 望月の 欠けたることも なしと思えば」
広く知られたこの和歌は、今から約千年前、平安王朝の最高権力者に上り詰めた藤原道長が詠んだとされる。道長の33歳から55歳までの23年間にわたる日記が『御堂関白記』である。現存する日本最古の、しかも自筆日記である点が評価され、今回の推薦に至ったようだ。

 藤原道長はもちろん知っている。でも『御堂関白記』となると?さっそく、読んでみることにした。古典初心者向けの本書は、現代訳、解説とも、ほどよく今風にアレンジされている。聞き慣れない言葉や習慣が登場すると、解説コラムがあり「痒いところに手が届く」親切ぶりがありがたい。

 おごそかな気分で読み始めたが・・・すぐに衝撃の事実が判明!
道長は、漢文の読み書きが大の苦手だったのだ。日記は誤字脱字、勝手な当て字だらけ。内容も単なる出来事の羅列が多く、文章が上手いとはお世辞にも言えない。

 「巳時萌給。(略)」訳;巳時に一条天皇が亡くなった。(1011.06.22より)

 正しくは崩御の「崩」で「巳時崩給」と書くべきところ。それを「萌」とは・・・千年前にすでに萌えていた道長、この時46歳。

 道長は三男坊で、若い頃は勉強そっちのけで遊びに精を出していた。気楽さと跡継ぎになれないやるせなさが同居していたのだろう。兄が次々と亡くなり、棚からぼた餅で政権が転がり込んできたのである。
 漢文で日記を書くのは、その頃の上級男性貴族の「たしなみ」であった。そのため、イヤイヤながらも仕方なく日記をつけていたらしい。しかも、サボりがち・・・。

 何だかホッとして、肩のあたりの緊張が緩んだ。千年前の中年貴族男性がぐっと身近に感じられる。

 一条天皇が漢詩好きなので、できないのに無理して漢詩の会を開いたり(1000.03.02より)、まだ幼い孫に博打の手ほどきをしたり(1018.閏04.01より)、自分が苦労しているから末息子には家庭教師をつけてばっちり漢文教育をしたり(1018.02.16より)など面白エピソードには事欠かない。実は、望月の歌も自分で作ったものか、あやしいそうで・・・。

 もちろん「笑い」だけではなく、政権維持のために涙ぐましい努力もしている。他の公卿たちが日常的に仕事をサボる中、毎日せっせと働き、ひとり遅くまで残業。療養中の病人には見舞品、遠方に赴任する知人には餞別を、もれなく贈る気配りを発揮する。そして日記に「馬・二人乗り用鞍・笠・馬具二組」と、しっかり内容を記録。ライバルを悪辣な手口で失脚させるダークな一面もあり・・・。漢文の読み書きは苦手でも、さすが道長、仕事はできる男だった。
 娘の彰子が二人の皇子を産む前後は人生の絶頂期。嫌いな日記を書く筆もなめらかに、ノリノリで裏書までいっぱいに書いているのが、笑いを誘う。このあたりは彰子付きの女房であった紫式部の日記にも記載があり、両方を読み比べてみると面白いだろう。少しだけ読んでみたが、紫式部の才能が並みはずれていることがよくわかった。

 意外にも!たいへん、楽しい日記だった。思いがけない贈り物をもらった気分。何せ、光源氏のモデルとも言われる道長である。華麗で雅やかな王朝絵巻を期待して、ページを開き始めたのだが・・・。でも、そんな日記だったら、かえって退屈で最後まで読み通せなかったかもしれない。

 当の道長はユネスコ記憶遺産への推薦をどう思っているのやら。シマッタ、漢文の堪能な学者に写本を依頼して、そちらを残せばヨカッタ!(恥)と悔いているだろうか・・・。

ユネスコ記憶遺産へ無事に登録されるよう、心から祈りたい。


(2011.05.30 ビーケーワン投稿 1591字)


新聞記事には、摂関政治の重要項目や貴族社会の日常などが能筆(漢文体)で記録された貴重な史料で…と紹介されていました。
もちろん、その通りなのですが…内容もどんなに立派なものかと思いますよね!もう、笑いをこらえられません…。
覚えてないはずだわ、これはゼッタイ古文の教科書に載らないでしょう。プ。

書評には書ききれませんでしたが、一番ユカイだったのはココです!
日記をつけ始めてから、ずっと間違えて書いていた(雨や雪が)「下る」を、ある頃から急に「降る」に直しているところ。きっと、何かの拍子に覚えたのでしょうね。紫式部に教わったのかも。ふいに新しい漢字を覚えた道長、この時46歳。もちろん、日記中でそのことには触れず、すま~して書いているのでした。

失礼なことばかり書いてしまって申し訳ありません!
この日記、日本最古の本人自筆日記であることに大変な価値があります。
『土佐日記』とか『蜻蛉日記』とか、残っているのは他人の手による写本なんですね。
そして、きちんと確認はされていないものの、おそらく世界最古の自筆日記でもあるようです。スゴイ!
11世紀、一国の最高権力者の自筆日記が残っているという可能性は世界的に限りなくゼロに近いそうで。きっとユネスコの審査過程で明らかになるのではないかな。
記憶遺産への登録、楽しみです。
『御堂関白記』を現在まで保存してくださった関係者の方々に感謝したいです。

道長さん、素晴らしい日記をありがとう!
あなたの大ファンになりました。
何だか日記文学にも目覚めそうです。




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導在 あわい

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