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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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クリス・ウォルダー『悲劇の女王の物語―儚く散った50人』(訳;竹田 円、築地 誠子・原書房・2011.03)

ヨーロッパの中近世史にずっと苦手意識があります。

国名や国境線も今とまったく違いますし、国同士の目まぐるしい同盟や対立、また教会との関係など、わたしにとっては実にややこしい!
しかし、この時代の歴史背景がわからないと、理解できない小説や映画も数多くあり、何とか少しでも頭に入れる方法はないかと探していました。

そこで、目を付けたのが「王室」。この時代、16~18世紀のヨーロッパ王室は政略結婚が盛んで、網の目のような婚姻関係でがっちり結ばれていました。この網の目をひも解いていけば、情勢を理解しやすいのではないか、と考えて王室関連本を読むようになった次第です。

ウィリアム王子とキャサリン妃の婚礼ブームに乗ったミーハー気分もまったくないとは言えませんが…。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 美しい女王には悲劇がつきまとう。古今東西、クレオパトラやマリー・アントワネット等の有名ドコロから、すっかり歴史のはざまに埋もれた女性まで、さまざまな悲劇が語られる。
冒頭に「死に方一覧」なる何とも不吉な表があり「暗殺または不審死」「斬首」「幽閉」「修道院送り」「パパラッチによる死(←該当者もちろん1名)」など16種類に分類されている。
本書では主役は「死」なのだ。

 一人あたりは、2~5ページほどで読みやすい。
わたしにとっては初めて見る名前もたくさんあった。クレオパトラの妹でキプロス女王の「アルシノエ」やたった9日間だけイギリス女王だった「ジェーン・グレイン」など。
有名ドコロより、むしろ、知られざる彼女たちの悲劇が心に残った。

 中でも、心を揺さぶられたのは「マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ」である。名前だけでは誰の事やら?だが、実はその姿は多くの人が目にしている。スペイン宮廷画家であったベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」の中央の王女だ。幼いながらも気高く堂々たる姿がとても印象的な名画の中の彼女。その後、どのような人生を送ったのだろう?
 彼女は15歳で叔父と結婚、4回目の出産の経過が悪く、何と21歳で短い人生を閉じていた。家族計画はないのかっ!と言いたい。後継者をもうけることが王妃最大の務めだとしても。しかも4人の子のうち、育ったのは女の子1人だけ。哀しい・・・。
とても夫婦仲が良く、幸せだったらしいことが救いだ。
こんな彼女も、本書ではトップクラスの幸せ度なのである。

 古代から現在まで、似たような悲劇が繰り返されていることがやるせない。
政争の道具にされ、あるいは権力の魔力にとりつかれ、ちょっとしたタイミングで生死をわけた、悲劇の女王たちの声なき叫びが届いた。
ウイリアム王子妃キャサリンさんの幸せを祈るばかりである。

(2011.05.31 ビーケーワン投稿 785字) 


入り組んだ系図や似通った人物名はヨーロッパ王室の宿命です。
やっぱり本書にも出てきて、わたしには消化しきれない部分もありました。
でも、難しい専門書を眉間にシワ寄せて睨みつけるより、このような物語を読んだ方が頭に入るのは確かですね。
「ラス・メニーナス」のように肖像画があると、さらにイメージがふくらんでいいかも。

ところどころにタロットカード風のイラストが入って、物語を華やかに彩っています。
このイラストも著者の手によるものだそうで。多才な方なのですね。

翻訳がとても自然で読みやすく、好印象でした。




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導在 あわい

Author:導在 あわい
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