FC2ブログ

 

名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
http://willowsgreen.blog.fc2.com/

 

P1030106.jpg

今年、最後の入日です!
このあと、あっという間に沈んでしまいました。

『野菊の墓』で入日に手を合わせるシーンがありましたっけ。

来年は穏やかで平和な年になりますように。

みなさま、よいお年をお迎えください。




 
スポンサーサイト



(吉川弘文館・2011.11)

満を持して登場?大相撲関連本の書評です!ドーザイは大相撲大好き♪
大相撲関連本は、ほとんど読んでいますが、なかなか書評に結び付けるのは難しくて。

大相撲関連本とくれば、もうその時点で読者は限られるわけですが、この本はさら~にマニアック。テーマは「力士」ではなくて「行司」だし。
冒頭に「行司に関する10の質問」があるのですが、ひとつもわからんやった……。

とにかく、著者の、どんな細かい疑問も草の根分けて調べ上げようという、エネルギーに圧倒されました。
そのエネルギーこそが、ひとつの道をとことん究める研究者魂だな、と思ったり。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 大相撲の行司といえば、力士と共に土俵に上がり勝負の判定をつける審判員、というイメージだろう。大相撲が大好きなわたしも、詳しいことはまるで知らないでいた。行司はいったい何を行い、何を司っているのか。

 行司の仕事、作法、装束と持ち物、触れごとと掛け声、等が詳しく紹介される。場内のアナウンス、番付を書くこと、土俵祭(場所初日の前日に行われる神の加護を祈願する儀式)の祭主など、裏方の仕事が多い。行司さんは忙しいのだ!

 相撲を描いた江戸時代の錦絵を見ると「今と同じ!」と嬉しくなる。だが、著者によれば、それは正確な理解ではない。よく見れば、異なる点があるからだ。行司の持つ軍配の形、房の色や長さ、草履や足袋を履くかどうか、帯刀の有無など、実に細かい点が。
著者は、新聞記事や相撲雑誌、過去の書籍(江戸期含む)を調べ上げ、変化の時期と理由を丹念に洗い出して行く。中でも、直接、現役の行司にインタビューし、当事者以外知り得ない内容を記録している点は貴重だ。規則や内規にはなく「慣行」として継承されていることも多いという。

 立行司だけが帯刀するのは「勝負の判定を誤った場合、切腹する覚悟を表すため」だと言われる。説得力があり、わたしもずっと信じてきたが、どうも少し違うらしい。
「帯刀が職責の重大さを表すシンボルだとしても、それは現代的な意味づけである(中略)力士や行司の帯刀は、武士と同様に、身分を表すシンボルだったのである」(127頁)帯刀が先で、解釈は後からついたのだ!この解釈が一般化したのは大正10年ごろだろうと著者は提示している。

 大相撲同様、行司にも長い歴史がある。それは、伝統の維持だけではなく、時代に合わせて変化を繰り返してきた歴史だ。
ディティールに宿る、伝統と革新。ディティールを知れば、全体はもっと興味深くなる!
たくさんの問題をかかえ、変革を求められる大相撲界。これからも注目したい。

(ビーケーワン投稿 2011.12.21 798字)


ワタクシ、テレビ観戦午後1:00からはもちろん、本場所にも行きます。個人的には裸足で装束も膝までしかなくてシンプルな装いの三段目格あたりの行司さんが好きだな~。若いし♪
どうしても、力士や取組に目が行ってしまって、今まで行司さんの方は興味が薄かったのですが……。
この本でだいぶ勉強しましたので、次回からはよ~く観察してみますっ!今から初場所が楽しみ~!




 
(山川出版社・2011.10)

寒い日が続きますね……。
明日は冬至です。ゆず湯で温まりましょう!(我が家は入浴剤で代用の予定…)

2011年も残りわずか。今年は、お江戸関連本をたくさん読みました~。
来年もきっと続きますね、このブームは。
この本も「江戸に学ぶ」がキーワードです。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 もし「長生きしたいか」と問われたら、どう答えよう?前向きな答えは、出にくいような……。不安、という漠然としたモヤに包まれて、「老い」のはっきりした形がまるで見えてこない、今の時代。先例のない超高齢化社会とも言われる、21世紀の日本。つかむべきワラは本当にないのだろうか?
 江戸時代イコール「人生50年」「リアル姥捨て山?」のイメージで本書を開いたが、早くも8頁目にして驚くべき事実を知らされる。
「飛騨国の寺院過去帳の分析によれば、江戸時代後期の21歳以上の平均死亡年齢は、男性61.4歳、女性60.3歳で、51歳以上の人びとの享年は70歳を超えている(中略)現代の平均寿命である80歳を超えて生き延びる者も、稀少とはいえない人数が存在している。(中略)高齢化社会は現代日本にはじめて生まれた人口現象ではないのである」
 不安定な幼少期をなんとか乗り切れば、寿命は今とたいして変わらないじゃないか!そして、今と大きく違うのは、長生きは「長寿」で、不安ではなく、寿ぐべき幸せだった点である。
 高齢藩士の褒賞制度が、多くの藩で実施されていたという。「隠居まで65年勤務」「82歳の高年で出精勤務」「心がけよく老年まで数十年武芸出精」等の記録がずらりと並ぶ。
名裁きで有名な、大岡越前守忠相は、古稀をすぎてから大出世をとげた。
 農民、町人も同様に褒賞を受けた。
「本所松井町2丁目長左衛門店三之丞(当104歳)、長寿につき米10俵、倅庄兵衛55歳・同妻そよ37歳、孝心の褒美として鳥目10貫文、庄兵衛地主八幡別当放生寺が老父一代のあいだ地代免除」
「本郷菊坂台町良助店久次郎・同妻きん方同居善悦(102歳)、まれなる長寿につき手当として米10俵、身寄りがなく家を焼失した善悦を引き取り世話。奇特で銀5枚」
 高齢者および介護者の褒賞は、領民の秩序の維持、身分制度の安定に有利だったという権力者の都合は確かにあったのだろう。だが、ひとつひとつの記録を目で追うと、なんとも温かい気分につつまれる。老いを支える家族、近所に加えて、介護の担い手をも、やさしく見守るぬくもりが生きていた時代だった。
 身分問わず「家長」が責任を自覚し、自ら介護を担っていた点にも注目だ。武士の子弟教育において、老親や祖父母の老いと看取りは重要な課題だったという。「看病断(かんびょうことわり)」という、今でいう「介護休暇制度」も整っていたとは驚きだ!その教えは、精神面、食事、住まいへの配慮を説き、かなり具体的な内容。今でいえば、小中学生の授業カリキュラムに「介護」を組み込み、実習(介護食調理や排せつ介助含む)を義務づけるようなものだろうか。
 幕末期には大都市や城下町、宿場町で困窮による老人の自殺が相次いだ、という悲しい事情もあったというが、おおむね理想的な老いと看取りがなされていた江戸時代。立ち止まって、学ばなければならないことは多い。

(ビーケーワン投稿 2011.12.12 1211字)


投稿後、この書評を見たら、「うわ、読みにくい…」。
「一行あけ」をしないで、みっちり書くと、読みにくいですねえ、横書きは。
久々の投稿で書き方を忘れちゃってました

この本と併行して、大岡敏昭『江戸時代 日本の家』(相模書房・2011.10)も読みました。
家の作りが変化したことも、高齢社会問題とかかわっているようです。
江戸時代の住宅は、すごくおおざっぱにいうと、ザ・オープン。
玄関の戸もお隣との仕切りも、あってないようなもの。
かたや、今の住宅、団地やマンションは非・オープン。
困っているお年寄りや介護にお疲れの方がいても、周りはわからないことが多い。
ここに、こんな助けを求めているお年寄りや介護の方がいます~ってオープンになれば、立ち止まって手助けする人はたくさんいるのでは。そのへん、日本人はまだまだすてたもんじゃないと思います。
でも、知りようがない……。そこが問題かと。難しいですねえ。

先例のない高齢化社会→だからどうしようもない、ではなく、歴史から何かをつかみたいもの。
せっかく、こんなにたくさん、歴史の本があるのだもの。知ることができるのだもの。まあ、具体的に何を?ってコトになると難しいのですが。
とにかく読み続けて、求め続けて行くしかない、な…。




 
オンライン書店ビーケーワンに投稿した、
柳谷慶子『江戸時代の老いと看取り(日本史リブレット)』(山川出版社・2011.10)
書評が「今週のオススメ書評」(2011.12.16付)に選ばれました!

1週間、書評ポータル内に掲載されます。
書評ポータルへはオンライン書店ビーケーワン・トップページの画面左端メニュー「更新情報」からも行けます)

ありがとうございます!
ただいま更新がカメ状態につき、まだブログにはアップできていません。
速やかに対処したく、努力します!





 
(淡交社・2011.09)

海の正倉院(沖ノ島)から本家正倉院へ、見事につながりました!?

この書評のタイトルは「正倉院展の季節に」でした。
とっくに終わってしまった正倉院展ですが…今さらのアップ。

正倉院展の時期って、奈良をめぐるには最もよい季節ですよね!
(シカさんたちは怒りっぽくなっている気もしますが)
今年の目玉は「蘭奢待(黄熟香)」だったんですよね、多分。
毎年、正倉院展が近づいて目玉のお宝が披露されるころになると、「ああ、行きたいなあ~」と激しく旅愁がかきたてられます。
ついでにどこのお寺をまわって、なんて架空の旅程を組み立ててみたりしますが…なかなか。
前回、訪れたのは何年前だろう?ワカラナイほど前だわ。寂しい…。行きたい…。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。来年は行きたい…。



 正倉院はよくタイムカプセルに例えられる。
8世紀から大切に保管され伝えられてきた、正真正銘の「宝物」だ。
著者は宮内庁正倉院事務所長で、本書は月刊誌に連載されたエッセイをまとめたもの。
春の全宝物点検、秋の正倉院展の話題を中心に、修理・復元・模造にかかわる作業の様子が語られる。
華やかな正倉院の表舞台を支える、知られざる裏方のエピソードが満載だ。

「宝物第一、『ひと』は二の次」ということばが印象的だ。
唯一無二の宝物を扱う作業にマニュアルはなく、ひとつひとつ経験を積んで覚えていくしかない。
「繰り返されること、あるいは、繰り返し見ることで、少しずつ、少しずつ染み込んでいくもの。この積み上げが貴重なのだ。安全に宝物を扱うことができたとき、その動きは、無駄なものがそぎ落とされ、結果的に洗練されたものに見える。逆ではないよ。上手な扱いを狙うと、碌なことにはならないよ……」(98頁)

 建物自体が国宝である正倉院そのものに、宝物は保管されていない。
現在の収蔵設備は昭和30年代の建物で、かれこれ50年前のもの。
かなり古いな、という印象だが、著者によれば「千二百余年過ごした倉を離れてようやく新しい倉に慣れてきたといえる」ということになる。
「正倉院時間」とでも呼ぶべき、百年単位の時間の流れがここではリアルなのだ。

 悠久の正倉院時間と秒刻みの現実時間を行き来する著者らの苦労を思うが、そんなことをも楽しんでいるかのようだ。語り口はユーモアにあふれ、実に軽やか。ちょっと硬い話もスイスイ読める。

 正倉院展出陳品の選定を「献立」に例えているのは面白い!
「その年その年の『旬』の素材」を意識している、と語る。
文書の場合、とくに「栄養バランス」に留意する、そうである。

 折りしも、秋、正倉院展の季節。
本書と共に、悠久の正倉院時間を体験してみてはいかがだろう。

(ビーケーワン投稿 2011.11.08 793字)


正倉院って皇室のものっていうイメージですが、東大寺の倉(正倉)なんですよね。
東大寺大仏殿裏手の正倉院へ続く小道、あの道、好きなんですよ!ひっそりしてて。
前に訪れたときは、午後3時過ぎで、日が少しずつ傾くなかをのんびり歩きましたっけ。
この本を読んでいる間、ずっとあの小道を歩いていたような気がします。
なかなか行けないけど、すぐ行ける。読書っていいね♪




 

ただいま更新を休止しております。
ご用の方はこちらまでどうぞ。
お名前と件名を明記くださいますようお願いいたします。

名前:
メール:
件名:
本文:

11 | 2011/12 | 01
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
ワケあって時間がたっぷり。いつかは読みたいと願っていた名作の数々…いますぐ、読むことにしました!
名作以外もどしどし読む予定。
楽しい読書録を目指します。

日本の名作 (20)
古典 (3)
明治の名作 (5)
大正の名作 (3)
昭和の名作 (8)
平成の名作 (1)
一般書 (40)
美術 (10)
歴史 (19)
文章修業 (2)
名作のほとり (3)
そのほか (6)
文学の旅 (2)
博物館&美術館 (7)
栞を挟んだら*読書小話 (20)
日本の名作 リスト (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)


TRCブックポータルに書評を投稿しています(2013.01~)。
ハンドルネームは*導在あわい*です。
「TRCブックポータル」は2016.03をもって運営終了されました。

******************************



また、2012.12までの書評は書籍と電子書籍のハイブリッド書店【honto】(旧;オンライン書店ビーケーワン)でも閲覧可能です。
当時のハンドルネームは*辰巳屋カルダモン*です。
     ******************************

tetu_bn_232.jpg
書評の鉄人*に選ばれました。
bk1-00232(2011.08.19付)
* 第297回 書評の鉄人列伝 で紹介されました(2011.09.30付)。

自分なりのルールを考えました。
こちらをご覧ください!


このブログをリンクに追加する

 
*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2011 名作文学いらっしゃいまし, all rights reserved.