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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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(求龍堂・2011.09)

江戸琳派はけっこう好きで、ある程度知っているつもりでしたが…。
この本を見て、びっくり。
こんなにいろんな様式があったなんて!
酒井抱一の破天荒な人生もスゴイです。まさに事実は小説より奇なり、です。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。



 名門大名家の次男坊で、書画や俳諧、狂歌の才に秀でた粋人。
デザインした調度品は、ブランドとして江戸っ子に大人気。
尊敬する先達、尾形光琳100回忌の法要や展覧も成功。
晩年は吉原の名花魁を落籍せて仲良く暮らし、たくさんの弟子に囲まれて大往生。
アーティストでありデザイナーでありイベントプランナーであり、生活の達人。
お江戸ライトノベルのキャラクターだろうか?
ところが、実在の人物、酒井抱一(さかいほういつ・1761-1828)なのだから恐れ入る!

 本書は26.7㎝×20.2㎝×3.8㎝、505頁の堂々たる大型本。
抱一生誕250周年記念の展覧会の図録であり、300点以上の作品の図版と解説が収録されている。

 江戸時代初期に尾形光琳、俵屋宗達らが京都で築いた琳派様式。
江戸琳派は、従来、その流れの一部として紹介されることが多かった。
先達のリメイク、リバイバルというイメージがあり、評価が難しい面があったように思う。

 本書を読み進めて行くと、琳派的な画風は、抱一および江戸琳派の、ほんの一面であることがよくわかる。
仏画やリアルな細密画など、さまざまな主題に作風、ほかの文化人との共作の数々。
「ヒポクラテス像」にはオランダ商館長のドゥーフが江戸参府の折に賛を寄せている。
あまりの多様さ、貪欲な興味に感心するというよりは、あきれてしまうほどだ。

 図版解説はすべて書き下ろしで、最新の研究成果が反映されている。
抱一の後継者たちにも多くの紙面がさかれている。
注文主や制作時期など、作品の背景を知る手掛かりとなる箱書きや書状も掲載されていて興味深い。
しかし、これで集大成というわけでもないようだ。
今後の研究が待たれる、紙面が尽きて論じきれない、といった表現が多いのだ。
新出資料もまだまだ期待できるだろう。
美術史研究のダイナミズムを感じる。

(ビーケーワン投稿 2011.11.06 785字)


酒井抱一ふたりいた説、いや、さんにんいた説、なんていうのを唱えたくなるほど、多作多彩。
日本史上、やりたい放題、好きなように生きた人の番付とかあったら、上位確実。

作品には北欧デザインかな?って思うほど、斬新なものがあります。
空間表現とか柄と柄を合わせのセンスとか、実に洒脱。

どんどん新出資料が出てきて、研究が進むというところがまた、江戸琳派の面白いところ。
今後も楽しみです♪




 
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(成美堂出版・2011.09)

コーヒー好きの夫のために図書館で借りてきた、この本。
いつのまにか、わたしが読みふけってました。
こういう実用書の書評を書くのは初めて。ちょっと緊張しますね。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 コーヒーの香りは好きだけれど、味は苦手。
そんなコーヒー音痴のわたしだが、ラテ・アートの繊細なリーフ模様には心魅かれるし、最近、耳にするようになった「スペシャルティコーヒー」というのも何だか気になる。

 ぱらぱらと眺めてみて、キレイな写真がたっぷりで見やすいこと、アレンジコーヒーやスイーツの豊富なレシピとおしゃれなスタイリングに魅かれて読み始めた。

 豆の選び方、焙煎、家庭での淹れ方、保存など、コーヒーの基本から応用まで、すべてカラー写真で丁寧に紹介されている。
同じ豆でもちょっとした淹れ方の違いで「フレーバーを際立てる」「酸味の質を楽しむ」など違った味わいに仕上げられるとは面白い!
コーヒーを淹れたことがないわたしも挑戦してみたくなる。
「鮮度の落ちた豆で上手に淹れる」方法も載っており、実に親切。
長年、謎だった、カリタとメリタの違いもしっかり理解できた。

 冒頭に挙げた、香りは好きだけど味は苦手、というのはコーヒー音痴がおちいりがちな?的外れな認識らしい。
そのとき口にした一杯がたまたま好みではなかったということなのだ。
その気になれば、香り、酸味、苦み、コク、必ず好みの一杯が見つかりそうである。

「スペシャルティコーヒー」についても詳しい。
「栽培履歴を明確にし、産地ならではの風味や特徴を備えた高品質のコーヒー」で全流通量の5%にも満たないそうだ。国や地域だけではなく、農園指定までされていることも多く、個性的な味わいだという。

 そして、巻末の「コーヒー用語辞典」、これが面白い!
聞いたことのない専門用語がずらりと並んでいるが、シャープで響きがよいことばがたくさんあるのだ。

「アーシー」大地の土っぽさなどを感じさせる風味。
「ヴェルジ」未成熟豆。これを混入したまま淹れると青臭くて飲めなくなる。
「カッパー」カッピング(品質鑑定の味覚審査)を行うプロの鑑定人。
「リストレット」湯を早めにきった、エスプレッソの一番おいしいところ。

「この書評は、てんでヴェルジ。だけど、アーシーな面もあるね」「いや、カッパーはそうは見ないよ。文章もリストレット徹底しなきゃ」
専門用語を超えて今後、流行するかも?しれない。

 まさに「大事典」を名乗るにふさわしい、分厚い内容だ。
観て読んで楽しい「カップ・オブ・エクセレンス(スペシャルティコーヒーの国際品評会で選ばれたコーヒーに与えられる称号)」な一冊。

(ビーケーワン投稿 2011.10.31 1019字)


先日、スペシャルティコーヒーのお店に行ってみました。

ブラジル サンタイネス農園のコーヒー
・プラムのような爽やかな酸味
・ローストしたナッツのような香りと甘い余韻

美味しいのでブラックでいけた!
おお、わたしにもちょっとわかりました!プラムとナッツ感。
わかると、面白いな~。

紅茶&緑茶党を返上するつもりはありませんが、コーヒーも楽しめるオトナになりたいものです。




 
(プレジデント社・2011.05)

文章術の本を見ると、とりあえず手に取ってしまいます。
今度こそ!ツボをついた、素晴らしいアドバイスがあるのではないか、と期待して。

すぐに(ものの数秒)がっかりして放棄することがほとんどですが、この本はちょっとよかった!
自分の文章を(名文の例として)引用してない点も好感度高いです!

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 メール、ブログ、ツイッター、そして、この書評も。
今、身の回りには「デジタル化された文章」があふれている。
文章力アップのためには、手書き時代とは別次元の取り組みが求められるようになった。
そんな「今」にぴったりの文章術の本だ。

 タイトルから、検索、コピペ推奨の文章術かと思われるかもしれない。だが、内容はまったく逆。
デジタルの利便性とスピード感を肯定しながらも、著者はかなり厳しい見方をしている。
「コピペを繰り返すたびに、自分の文章力は衰えていく」
「ランキングや検索の便利さを振り切って、一歩を踏み出してみる。書き手には、その勇気が必要」
著者はわざとネット接続していない古いパソコンを「書く」専用機に使っているそうだ。

 「ライターズ・ハイ」のエピソードに心躍った!
長距離ランナーが苦しいのを我慢して走り続けると、かえって気分が高揚して調子が上がる「ランナーズ・ハイ」。
それと同じ現象が文章を書く状態でも起きるという。
寝食を忘れて書くことに没頭し、しかも内容も伴った文章が書けるそうだ。(その後はぱったり続かないそうだが)
「一度でもこの状態を経験すると、絶対に、書くことをやめられなくなります。保証します」
気分がのらなくても、少しずつでも、とにかく毎日「書き続けること」、そして書き続けるためには「体調を万全に整えておくこと」。この2点がポイントだという。
二日酔いや寝不足の頭には、ライターズ・ハイの女神は舞い降りないのだ!こころ、せねば。

 もちろん、文章力そのものをみがくための指南も、ツボを押さえたラインナップ。
著者自身、新旧相当量の類似本を読み込んだ上で、書かれているのではないか。
名文として引用している、作品や文章も使い古されたものではなく新鮮な印象を持った。
自慢も、出し惜しみもない、真摯な文章術の本である。

(ビーケーワン投稿 2011.10.27 779字)


よい文章を書こうと悪戦苦闘しているアマチュアがつまずきがちなポイントをきっちり押さえています。
ライターや作家としてのキャリアが長いのに、藤原氏はアマチュアリズムを忘れていない方なのです。

少し残念なのは、タイトルと著者名につけられた肩書。
書評にも書きましたが、タイトルから内容を誤解される方もいると思います。
(以前にもタイトルが一人歩きして理不尽な思いをされたそうですが……)
それで読まない人がいたら惜しい。
著者名の横についてる「芥川賞作家」という肩書もいらなかったのでは。
藤原氏のキャリアは、もっともっと幅広い価値のあるものだと思います。

ライターズ・ハイに憧れますが、よく考えてみたら、わたしは主婦。文章に没頭できる時間は限られます。
「ライターズ・ハイ、キタ~!」ってなっても、時間になったら買い物に行かなきゃいけないし、ご飯作らなくちゃならない。
洗濯機がピーと鳴れば洗濯物を干さなくちゃならないし、パンの発酵時間がきたら成形して焼かなくちゃならない。
ああ、かえって、悔しいから、こなくていいや、となりますねえ……。




 

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導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
ワケあって時間がたっぷり。いつかは読みたいと願っていた名作の数々…いますぐ、読むことにしました!
名作以外もどしどし読む予定。
楽しい読書録を目指します。

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TRCブックポータルに書評を投稿しています(2013.01~)。
ハンドルネームは*導在あわい*です。
「TRCブックポータル」は2016.03をもって運営終了されました。

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当時のハンドルネームは*辰巳屋カルダモン*です。
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書評の鉄人*に選ばれました。
bk1-00232(2011.08.19付)
* 第297回 書評の鉄人列伝 で紹介されました(2011.09.30付)。

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