FC2ブログ

 

名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
http://willowsgreen.blog.fc2.com/

 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
ビーケーワン書店・書評ポータル内の「書評の鉄人列伝」(2011.09.30付)にて
不肖・辰巳屋カルダモンが紹介されています。
名誉なことではありますが、ちょっと恥ずかしくもあり。
よろしければ、ご覧くださいませ。
公開は一週間、来週の金曜日(2011.10.07)のお昼頃まで、です。

【追記】10/7以降も「書評の鉄人列伝バックナンバー」で永久に?見られるみたいです。


 
スポンサーサイト
松本清張『或る「小倉日記」伝』改版(新潮文庫・2004.05)

2011年初春、この作品を読んで涙ダラダラの鼻水ぐしょぐしょになり、この思いを書き残しておこう、と思ったのが書評を始めたきっかけです。
眠っていた読書魂を揺り起こし、書評という新たな表現の可能性を開いてくれた、わたしにとっては記念碑的な作品。

でも、そんなふうに思い入れが強すぎると、あれもこれもと思いすぎてなかなかまとまらないもの。
思うような書評にならず、ずっと手を入れながら寝かせていましたが、やっと書き上げることができました。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 著者はこの作品で昭和28年(1953年)に芥川賞を受けている。
社会派ミステリーで知られる著者が、直木賞ではなく芥川賞を受けていたことは驚きだ。

 軍医だった森鴎外は、福岡県の小倉に赴任していた時代の日記を残している。
この小説は、実在の人物をモデルに、そのエピソードをからめたフィクションだ。

 小倉に生まれ育った田上耕作は、生まれつき身体が不自由だが頭脳は明晰で優秀だった。
鴎外の小倉時代の日記が紛失状態となっていることを知り、その足跡をたどる作業に取り掛かる。
それは彼の生きがいとなり、寄り添うように生きる彼の母親の生きがいにもなって行く。

 誰も彼も、何かをしていなくては生きていられない。
耕作は、当時の鴎外を知る関係者を探し出し、取材を重ねるが、それは楽なことではなかった。
「こんなことに意味があるのか」常に自問しながら、不自由な身体を酷使し、人の嘲笑を受け、悩み苦しみながら歩きまわる。そうせずには、いられないのだ。
「生」が与えられている間は精一杯に生きる。人間として、というよりも一個の生物としての使命。そんな当然のことをあらためて考える。

 戦後の混乱を経て、耕作は志半ばで病に倒れ、作業は頓挫する。
彼の研究は水泡に帰したのだろうか?そうは思いたくない。
むしろ、第三者の検証がなされたことで、鴎外の『小倉日記』の意義をますます高めることに貢献した、と言えまいか。そう思いたい。

 当初、ここで書評を終えるつもりが、再読して読み落としを見つけた。
ラスト近くのさりげない一文で、耕作の草稿の行方が明かされる。
彼の生涯をかけた研究の成果は、風呂敷に包まれて、どうなったのか。
彼は「むなしいこと」をした、と著者は明らかに意思表示している、と感じた。

 わたしの「希望的見解」は打ち砕かれた。だが、不思議と落胆はない。
本人には意味があり大事なことでも、世間では評価されないことが圧倒的に多い。
人が生きている間の行為のほぼすべては、風呂敷に包まれたまま、ほこりをかぶって朽ちていく運命なのだ。
「でも、それでもいいんじゃない?」
声高に主張はしないが、著者は「むなしいこと」にそっと心を寄せている様子が伝わってくる。
作家としては遅咲きだった、そのまま埋もれる可能性もあった、著者の意識がにじみ出たのかもしれない。
作中ずっと、耕作の描き方は、客観的でありながらも、どこか温かなまなざしであった。
読後感は悪くなく、からだに内側から力がみなぎってくるような前向きな気分だ。
日の目を見ない風呂敷包みでも、せめていっぱいにしてやろう。そんなことを思う。

(ビーケーワン投稿 2011.09.22 1096字)


この作品はミステリーではありませんが、やっぱり清張氏の作品ですから、いつも以上に内容を明かし過ぎないよう気をつけました。
ラスト近くの引用とそこに触れる内容は投稿する直前に削りました。
結果として、かなりわかりにくい文章になってしまった気がします。
伝えたい気持ちが空回りしているような……。
自転車のペダルを踏み損ねてスネにぶつけたみたいな気分。
書評って難しいなあ。

書評は不満足な結果でも、この作品に対する深い愛は変わりませんので、折々、読み返して行きたいと思います。

そして、予告!!!
この作品の舞台であり清張氏の故郷でもある、北九州・小倉へど~うしても行ってみたくなり、この夏、北九州文学紀行を実施しました!(道連れ;夫)
こんな高尚な?動機で旅するのは初めて♪
近々、その模様をアップする予定です。よろしく!




 
P1020865.jpg

本館の常設展をゆっくり見たあと、平成館へ移動です。
一階の考古資料をざっとまわって、昔馴染みの「腰に鏡をぶら下げた巫女さんの埴輪」に対面。旧交を温めあいました?これでよし。
会社帰りの夫と入口で待ち合わせて、いざ!「空海と密教美術展」へ。
待ち時間なしで入場できましたが……会場内は相当な混雑。

 今回の見どころのひとつは、空海直筆の書が数点出ていること。
直筆はやっぱりオーラがあります。「聾瞽指帰(ろうこしいき)」は一巻全部展示っていうのもスゴイ(見づらかったけど)

内容は全然わからなかったのですが、解説によると、たとえ話を使って密教の世界観をわかりやすく説明しているそうです。どんな内容なんだろう?確か、角川ビギナーズクラシックスシリーズに空海の著作あったような。次に読みたい本がリストアップされました!

曼荼羅の胎蔵界も好きです。
じっと見ていると、中心を頂点にしたピラミッド型に全体が立ち上ってくる瞬間がたまらない。

掘り出し物は獅子窟寺の薬師如来像。衣文の流れるような美しさよ~。

ラストの仏像の立体曼荼羅はちょっと、やっぱり役者が足りないから無理がある感じでした。
そういう点では、常設展の立体曼荼羅の方が雰囲気あったかも。
ひとつひとつの仏像はそりゃあ、素晴らしいです!
東寺の講堂は暗くてこんなに細かいところまで見られませんしね。

(わたしの勝手な仏像鑑賞法。似ている力士を見つけて楽しむ。今回は豪風と時天空を発見♪♪♪)

閉館時間が迫り、慌ててグッズを購入。
P1020899.jpg

折り紙とふせんとスタンプです。フィギュアは今回はパス。
P1020903.jpg P1020904.jpg P1020902.jpg

それにしても、こんな混雑した展覧会に来たのは久しぶり。
夫は、空海に興味がある人が世の中にこんなにいるんだ、とびっくりした様子。
「うちの会社にはまず、ひとりもいないぞ!」と。そりゃ、そんなものでしょうよー。

ちょっと疲れましたが、楽しかったです。読みたい本も見つかったし♪
(2011.09.16訪)




 
先日、書評を書いた『オトナの社会科見学』でとりあげられていた、東京国立博物館(愛称;トーハク)に行ってまいりました!

上野駅から歩いて10分ほどです。現在、上野公園が工事中で殺風景でした、残念。

*本館 
赤瀬川氏、山下氏ともに絶賛していた本館です。
P1020864.jpg

堂々として優美な屋根の曲線。
P1020868.jpg

日本美術応援団オススメの常設展(トーハクでは総合文化展と呼びます)、じっくりと見ました!国宝、重文もたくさん。

入っていきなりの 国宝 浄瑠璃寺 四天王立像 広目天 が素晴らしかったです!
彩色の残りがよくて截金文様もよく見えました。
特別展との連携企画か、山梨のお寺(うろ覚え)の木造仏の立体曼荼羅は不動明王中心にちゃんと五体揃っていて見応えありました。これ見ておいて特別展に行けばすごく面白いですよ。

特集陳列「運慶とその周辺の仏像」もよかった!
これ、常設展でいいの?っていうくらい充実の内容でした。

陶磁器コーナーの朝鮮唐津にも感激~。

今回、建物そのものもよーく見てみました。内も外も。
本館の裏にある庭園がまたいいんですよね。池があって茶室もあり。
庭園ガイドツアーもあるようなので行ってみようかな?

今回、ちょっとビックリしたことがありました。
展示室で写真撮影している方がけっこういらして。
調べてみたらOKなのですね。知らなかった!
トーハクのHPのQ&Aに次の通り載っています。

総合文化展については、個人利用にかぎって写真撮影ができます。ただし、撮影禁止マークのついている作品は、所蔵者の意向により撮影をお断りしています。

と、いうことです。いつからだろ?特別展はオール撮影禁止。

*表慶館 
本館の和に対して洋。こちらも素晴らしい建築です。
P1020866.jpg

「あ×うん」になっているみどりのライオンたち。
P1020867.jpg

東洋館は耐震工事中でした。

*平成館
P1020871.jpg

日本美術応援団のおふたりには評判悪い平成館。
確かに……。キレイだけど建物としては面白くない。

金曜日の夜間開館時間に行きましたので、こんな風景も。
ライトアップされた本館入口です。
P1020872.jpg

特別展「空海と密教美術展」鑑賞記は、また後日アップします。

常設展だけでも、かなり満足。
美術館ってやっぱり楽しいなあ♪
(2011.09.16 訪)




 
赤瀬川原平・山下裕二『オトナの社会科見学』(中公文庫・2011.07)

赤瀬川原平さんといえば「トマソン」とか「新解さん」「老人力」ですよね。
常にヒトとは違うモノの見方をする方、というイメージです。
もちろん、本書でもその実力を発揮なさっていますが、意外にも?明学大教授の山下さんもかなり過激。
こんなこと言ってしまって大丈夫なのだろうか、と心配になりましたよ。
そんなふたりの、社会科見学という名の、珍道中記?です。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 オトナによる、オトナのための、知的ながらもちょっぴり脱力系な?日本美術案内だ。
もと前衛芸術家で、作家ながら古美術に関しては「思春期」の赤瀬川原平氏と、大学教授で日本美術史が専門の山下裕二氏。
ふたりの「日本美術術応援団」は結成15年になるそうで、本書は4冊目の対談集とのこと。
今回は建築鑑賞がメインである。訪れるのは国会議事堂、東京国立博物館、聖徳記念絵画館、増上寺、鎌倉、長崎、奈良など。

 「社会科見学」とタイトルにあるだけに、美術鑑賞をしつつも政治や経済、歴史など社会的な部分にも話は及ぶ。
お揃いのスーツで社会人の「コスプレ」をしたり、鉱物模型の価格をカメラに換算して8ライカと表現したり、絵画館の日本画、洋画を紅白歌合戦に例えたりと、いいオトナらしくない?遊びと発見の連続である。

 ふたりとも目のつけどころが尋常ではない。
国宝だから、名品だからと、素直に感動することは、決して、ない。
自分だけのゆるぎない鑑賞基準がきちんとあって、心の琴線に触れてこないものは冷たくあしらわれる。
法隆寺ではわざとコースから外れた西円堂へ行き、街の雨どいの透かし彫りを誉め、鎌倉では小川のブロック塀の隙間に生えた花を愛でる。かなりの「へそ曲がり」だ。

 作品解説の漢字熟語は理解不能、英語版の方がまだわかるという意見にうなずき、写真もテレビもない時代に予備知識なしに大仏のスケール感を味わってみたかった、との望みにはしみじみ共感した。

 山 下  あとは、モネ。
 赤瀬川  港の海の色がモネしてましたね。(中略)
 山 下  時間にもよるんですね。モネになる時間がある。
 赤瀬川  モネタイム。
(長崎「茂木漁港はモネの絵だ」より。180頁)

 息もぴったりの会話!お互いの価値観を尊重し信頼していればこそ、だろう。
へそ曲がりのオトナは、信用できる。ちょっとカッコイイのだった。

(ビーケーワン投稿 2011.09.20 799字)


この春、江戸東京博物館で開催された「五百羅漢展」はこのふたりのトークがもとになったんですね!すごい影響力だ!恐るべし日本美術応援団!(南伸坊さんも団員だそうです)
個人的には聖徳記念絵画館と京都の石峰寺に行ってみたくなりました。
赤瀬川さんの枯れたオトナぶりがとってもいい感じです。こういうオトナになりたい。

この本で日本美術応援団が訪れた「東京国立博物館」鑑賞記を近々アップする予定です。
よろしく~!




 

ただいま更新を休止しております。
ご用の方はこちらまでどうぞ。
お名前と件名を明記くださいますようお願いいたします。

名前:
メール:
件名:
本文:

08 | 2011/09 | 10
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
ワケあって時間がたっぷり。いつかは読みたいと願っていた名作の数々…いますぐ、読むことにしました!
名作以外もどしどし読む予定。
楽しい読書録を目指します。

日本の名作 (20)
古典 (3)
明治の名作 (5)
大正の名作 (3)
昭和の名作 (8)
平成の名作 (1)
一般書 (40)
美術 (10)
歴史 (19)
文章修業 (2)
名作のほとり (3)
そのほか (6)
文学の旅 (2)
博物館&美術館 (7)
栞を挟んだら*読書小話 (20)
日本の名作 リスト (0)
はじめまして (3)
未分類 (0)


TRCブックポータルに書評を投稿しています(2013.01~)。
ハンドルネームは*導在あわい*です。
「TRCブックポータル」は2016.03をもって運営終了されました。

******************************



また、2012.12までの書評は書籍と電子書籍のハイブリッド書店【honto】(旧;オンライン書店ビーケーワン)でも閲覧可能です。
当時のハンドルネームは*辰巳屋カルダモン*です。
     ******************************

tetu_bn_232.jpg
書評の鉄人*に選ばれました。
bk1-00232(2011.08.19付)
* 第297回 書評の鉄人列伝 で紹介されました(2011.09.30付)。

自分なりのルールを考えました。
こちらをご覧ください!


このブログをリンクに追加する

 
*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2011 名作文学いらっしゃいまし, all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。