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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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オンライン書店ビーケーワンに投稿した、中野京子 『「怖い絵」で人間を読む』(日本放送出版協会・2010.08)の書評が「今週のオススメ書評」(2011.08.26付)に選ばれました!

ありがとうございます~!
1週間、ビーケーワン書店書評ポータル内に掲載されます。
書評ポータルへはトップページの画面左端メニュー「更新情報」からも行けます)

美術系の本の書評が選ばれたのは嬉しいです!
スミマセン、他の分野でも、も~ちろん嬉しいのですが。
わたしの中では「美術」本の書評は一番書くのが難しい、という位置づけなのです。
ふさわしいことばが降りてくるまでの待ち時間がいっそう長い、とでも言ったものか。
この書評も何度も書き直して、途中、まるで進まなかったり、投稿までに時間がかかりました。
その間、熟成してくれたのなら、返ってよかったわけですけどね。

『怖い絵』シリーズ1~3もちゃんと読まなくちゃ!ですね。




 
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津川 康雄 監修『江戸から東京へ 大都市TOKYOはいかにしてつくられたか?』
( じっぴコンパクト新書・実業之日本社・2011.07)


また「江戸」モノ?かと思いきや、この本は頁数で言えば、2/3は東京都市論です。
ありそうでなかった、ランドマークから考える都市論。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 東京スカイツリーの建設が始まってから、にょきにょきと伸びていく様子はマスコミでも頻繁に取り上げられ目にする機会が多い。
まだ開業前でありながら観光客で付近はにぎわっているようだ。
今や、都内でちょっと高いところに上ると、ついスカイツリーを探してしまう。
ランドマークが人に与えるインパクトは時代問わず大きい。

 都市のシンボルとなるランドマークの存在。
本書は、ランドマークを手掛かりに、江戸が東京になり、グローバルシティに発展した歴史をひもとく。
ちょっと変わった視点からの「都市論」だ。

 「都市論」といっても堅苦しさは一切ない。
江戸城、日本橋、東京駅、国会議事堂、東京タワー、サンシャイン60など、ときどきのランドマークを取り上げて、その成り立ちから現状、なくなってしまったものはそのいきさつまでを豊富なエピソードをふまえてわかりやすく語る。
東京観光ガイド本のような軽やかさだ。

 ランドマークには4つの性格があると著者は定義している。象徴性・記号性・場所性・認知性の4つだ。
いくつかの性格を併せ持つことが多いが、なかでも築城から260年間ランドマークであり続けた江戸城はすべてに当てはまるという。
「日本の政治の中枢としての江戸城(象徴性)、将軍の権威を放つ江戸城(記号性)、全国からの交通網の要としての江戸に建つ江戸城(場所性)、はるか遠くから認めることのできる江戸城(認知性)なのである」
皇居となり、その性格はだいぶ変わったものの、いまなおランドマークであり続ける江戸城。ランドマーク歴400年!これは世界的にも稀有ではないだろうか。ランドマークとしての寿命は意外とはかないのが常だ。

 ランドマークの誕生や交代、崩壊は、歴史の節目と重なり合う。
東京(江戸)の場合、徳川家康の江戸入城、明治維新、関東大震災、敗戦後の復興の4つの出来事が大きく影響した、という。
江戸から戦前までは、遷都、火事や地震の災害、戦災がきっかけとなり、戦後は、規制緩和、建築技術革新、オリンピック開催などがきっかけとなった。その変化が興味深い。

 人はランドマークに何を求めるのだろう。
映画にもなったように、東京タワーが日々伸長して行く様子は人々を勇気づけたという。
今また東京スカイツリーがその役割をになっている。
ランドマークを見上げたり、その内に立つことで、逆に自分の存在のちっぽけなことを、でも確実に存在している確かさを、かみしめるのだろうか。

(2011.08.22 ビーケーワン投稿 1032字)



江戸から東京へ、すんなり遷都したのではなく、大阪案もかなり強力だった、と知ってびっくり。
山手線が現在の環状線になるまでには50年かかったそうです。だんだんと輪になっていく図が載っていて面白い。

ランドマークというと、黒沢映画『天国と地獄』を思い出します。
街のどこからでも見える、小高い丘の豪邸に住むお金持ちの子が誘拐されるわけですが。
その豪邸が街のランドマークになっている点がポイントでした。

ランドマークとしての役割を終えた東京タワー、霞が関ビルなどが今後どのようになって行くのか、見届けたいです。

ひとつ言うと、この本、タイトルがちょっと残念。
ありきたりで、せっかくの内容が連想しにくいタイトル。
なぜ、ランドマークという重要なキーワードをタイトルに入れなかったのでしょうね?




 
中野京子 『「怖い絵」で人間を読む』(日本放送出版協会・2010.08)

気になりつつ、読んでいなかった『怖い絵』シリーズ。
「絵画の見方は自由なのに、必ず『怖い』と思わないといけないのかな?」なんて思いがちょっとありまして…手が出ませんでした。

でも、読まないでタイトルだけで判断するのは、やはりよろしくない!
シリーズとは別にこの本が出ているのを知って、思い切って読んでみました。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 絵画を読み解く『怖い絵』シリーズが人気の著者。
本書はNHKで放映された出演番組のテキストを再編集し、新書化したものだ。
一連のシリーズ未読のため、調べてみたら、本書で取り上げられた33作品中14作品が、シリーズ1~3で既出であった(数え間違いがあったらスミマセン)。
逆に言えば19作品は初出なので、シリーズを未読の方も既読の方も楽しめる一冊だと思う。

 西洋画を理解するには、歴史、美術史、宗教など、超えねばならぬハードルが数多い。見る前からあきらめてしまいがちだ。
著者は絵画の「歴史的背景、画家や注文主のエピソード、巧妙に隠されたメタファー」を親しみやすい語り口で解き明かし、知識ゼロの状態からでも理解できるように工夫している。美しいカラー図版の重要ポイントに直接、矢印が示されて、まるで目の前で解説されているようにわかりやすい。
「怖い」を切り口にした一話(一絵?)完結の、物語のような構成が成功している。美しく見える肖像画やのどかな風景画が一転し、じわじわと明らかになってゆく「怖さ」。美術の本なのにミステリーの短編集を読んでいるかのようだ。

 絵画鑑賞の枠にとどまらず、他分野にも興味が広がる「こぼれ話」も満載。著者の博識なこと!
たとえば、スペイン・ハプスブルグ王家の人物が歴史映画に登場する場合。スペインのイメージから「黒目黒髪」の俳優が演じるケースがあるが、これは誤り。残された肖像画が物語るように、実際は「金髪碧眼」であった。それは現地の血をまったく入れずに近親結婚を繰り返した結果で……と「怖い」話につながってゆく。実に面白い視点だ。映画も絵画も両方観たくなる!
また、19世紀末に発表された小説『死都ブリュージュ』は当時ヒットし、その影響で絵画『見捨てられた街』が生まれ、さらにオペラ『死の都』につながった、という。一連の芸術の連鎖はたいへん興味深い。ベルギーのブリュージュは今や観光都市になっているそうだ。

 本書および『怖い絵』シリーズで、著者は絵画を読み解く楽しみを教えてくれた。
だが、それはひとつの見方を提示しているだけある。絵画の楽しみ方はひとそれぞれであり、正しい作法があるわけではない。取り上げられた作品を「怖い」と感じるかどうかもまったく自由だ。
何の知識もなく対峙した方が、素直に楽しめたり自分なりの発見をすることもあろう。頭に詰まった知識は、直観的に届けられる「何か」を遮断してしまう可能性もある。
「予習しておかなくてはいけない」または「まっさらな心で感じなくてはいけない」、そんな極端な思い込みが先行して面倒になり、絵画の楽しみから遠ざかってしまうことが一番「怖い」と思う。

頭にたくさん詰め込んで見るもよし、ぶらっと見るもよし、楽しみ方は各人にゆだねられている。
そんな、豊かな美術の楽しみと、そのあり様をあらためて考えさせられた。

(2011.08.19 ビーケーワン投稿 1198字)



また「字余り」になってますねえ…298字ほど。

この本、確かに読みやすくて面白かったです。
好評を博してシリーズ3巻までいったのもわかります。
「怖い」を切り口にしたのは、ホントうまいと思う。
けれども、☆4つにしました。その理由は―――。

本来、自分で迷いながら探し出さなければならない「絵画鑑賞の楽しみ」が、一から十まで、すべてパッケージになってしまっている。
そこが、わたしには、やや味気なく思われました。
その敷居の低さ、気軽さがむしろ寂しい。

ひがみ、かもしれないです。きっと、そうだ!
こんな本が自分の若いころ、そう10代後半のころにでもあれば、もっと幅広く美術を楽しめたのに!っていう、ひがみ。今の若い衆が羨ましいっていう。

この本をきっかけに美術ファンになった方がたくさんいらっしゃるでしょうし、「怖い」を超えてみんな自分なりの鑑賞法を見つけ出していくことでしょうね。そうなって欲しい。




 
書評(らしきモノ)をビーケーワン書店に投稿し始めて、かれこれ3ヵ月。
(書評執筆歴もほぼ一緒です)
投稿数は25件になりました。

ビーケーワン書店から「書評の鉄人選出のお知らせ」(8月19日付)という件名のメールをいただきました!アマチュア書評界にさんぜんと輝く栄誉、あこがれの「書評の鉄人」の末席に加えていただけることになりました。
ありがとうございます!

いや~、もちろん、目標にはしていましたが(←ずうずうしい)、まだまだと自覚しておりましたので、喜びつつも驚いています。
ご存じの通り、ビーケーワンの鉄人の方々の書評は、本当にレベルが高くて素晴らしい。
いいのでしょうか?ポッと出の、書評のルールもろくに知らないようなヤカラを入れていただいても。あら、書いていて何だか不安になってきました……。

最近も自分の書評(らしきモノ)のダメさ加減に落ち込んだばかりで。解説が自分と同意見だったりすると、引きずられて引用なしに同じような文章を書いてしまったり…。目新しいコトを書こうと気負いすぎるあまり基本的なルールをないがしろにしていることに気がつきました。
失敗と反省を繰り返しながら、少しでもいいものに近づけるよう、やっていくしかないのでしょうが。

初の除名処分!不名誉鉄人誕生!……なんてことにならぬよう、さらに自戒します。

ところで、わたし専用のバナーをいただいたんですよ!これは嬉しい~!
bk1-00232 と番号が入っています。
tetu_bn_232.jpg

鉄人232号ってことですかね?
先輩が231人いらっしゃるんですね!きっと。

これからも、読書も書評(らしきモノってしつこい!)も、マイペースでがんばります!
滞りがちな、このブログの更新もがんばります?




 
菊地ひと美『お江戸の結婚』(三省堂・2011.07)

またまた「江戸」モノです。常に何かしら新刊が出ていますね、人気の「江戸」モノ。

時代劇を見ていると、どんなボロい長屋に住んでいる貧乏娘でも、結婚するとなると金屏風の前で白無垢を着て三々九度、そして「たかさごや~」のシーンがお約束ですが、やっぱりそんなことはありえない、と教えてくれる本です。(アタリマエか…)

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。 


 著者は「衣装デザイナーを経て日本画家、江戸衣装と暮らし研究家」とのこと。随所に織り込まれたイラストもすべて著者の手になるもので彩りを添える。

 江戸時代の結婚は個人の結びつきではなく「家の存続」が目的だった。身分が上がるほどに、その縛りはきつくなって自由度は奪われる。

 「身分を下に落としたくない」という意識が結婚に大きく作用したのではないか、と著者は指摘する。一度転落したら回復のチャンスはまずなく親類縁者一同にまで影響が及んだ。武士は3代養子が続くと家禄がどんどん削られて上級武士も長屋住まいに転落したという。農民は自立できる中農層を、商人や庶民も一定の収入が確保できる生活の維持を目指した。その手段としての結婚だったのだ。
属する階層によって、また都市か農村かによっても大きく結婚事情は異なった、という。

 お江戸の結婚を物語る、エピソードの数々が興味深い。
さっと通り過ぎるだけの一瞬のお見合いや農村の年頃の男女が交流する「若者組」と「娘組」の存在など。
離婚を望む女性の頼みの綱、駆け込み寺に入るにも多額の資金が必要で(!)裕福でなければ無理だったというのは、ちょっと悲しい話だ。

 江戸時代は結婚できる方がまれだった。華やかな祝言は一部の富裕層のものだ。
格差社会の結婚事情が現代日本と江戸時代とで共通する、との著者の指摘は鋭い。以前の日本は、中流意識が強く、就職=正社員で収入は右肩上がりが約束された。しかし、そんな時代は過ぎ去り「したくても結婚しにくい」状況が現代とそっくりであるというのだ。

 永続的なエコ社会であった江戸時代。エネルギーの使い方やリサイクルを徹底した生活姿勢など、現代日本は学ぶべき点がたくさんあると思う。
しかし、こと結婚に関しても、また江戸時代が参考になるとは意外だった。どう、江戸時代から学ぶか?著者のアドバイスをぜひ読んでみて欲しい。

(2011.08.13 ビーケーワン投稿 796字)



イラストメインの軽めの江戸本かと思ったら、シリアスな結末にびっくりでした。

それにしても、今の時代、相手を探すのは至難の業ですね。
江戸時代以上の厳しさではないでしょうか?
身分によりはっきり制限されていた江戸時代と、目には見えねども学歴や収入による序列が確かに存在している現代と…。
どちらがよいとも言えませんが、まったくのフリーで結婚相手を探せという今の状況は酷すぎる!むしろ、見つからなくて当然かと。
法律で、町内にひとり「お世話焼きおばさま」の設置を義務付ける、とかどうでしょう?




 

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導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
ワケあって時間がたっぷり。いつかは読みたいと願っていた名作の数々…いますぐ、読むことにしました!
名作以外もどしどし読む予定。
楽しい読書録を目指します。

日本の名作 (20)
古典 (3)
明治の名作 (5)
大正の名作 (3)
昭和の名作 (8)
平成の名作 (1)
一般書 (40)
美術 (10)
歴史 (19)
文章修業 (2)
名作のほとり (3)
そのほか (6)
文学の旅 (2)
博物館&美術館 (7)
栞を挟んだら*読書小話 (20)
日本の名作 リスト (0)
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TRCブックポータルに書評を投稿しています(2013.01~)。
ハンドルネームは*導在あわい*です。
「TRCブックポータル」は2016.03をもって運営終了されました。

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また、2012.12までの書評は書籍と電子書籍のハイブリッド書店【honto】(旧;オンライン書店ビーケーワン)でも閲覧可能です。
当時のハンドルネームは*辰巳屋カルダモン*です。
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書評の鉄人*に選ばれました。
bk1-00232(2011.08.19付)
* 第297回 書評の鉄人列伝 で紹介されました(2011.09.30付)。

自分なりのルールを考えました。
こちらをご覧ください!


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