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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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原 淳一郎 『江戸の寺社めぐり』(吉川弘文館・2011.05)

 江戸関連の本を読むと「こんな進んだシステムだったの!」とか「今よりずっと優れた社会だよねえ」と驚くことがよくあります。
前はもっと古い時代の歴史モノが好きでしたが、今は江戸時代モノをしっかりチェック♪
面白い本を逃さないよう、新刊にはしっかり網をはってます。網にかかったこの本、もう読んでビックリのお江戸システマティックトラベル?です。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 団体行動を好む日本人、特に旅行では、その傾向が顕著だ。団体ツアーはまだまだ健在である。そのルーツは江戸時代にあるらしい。

 江戸時代の旅はイコール寺社への参拝だった。そこには驚くべき高度な旅システムが存在していた!

 人々は地域あるいは血縁単位で「参詣講」という名の互助システムに加入、一定額を出資する。毎年決まった時期に代表者15名程度が参拝。道中は提携した宿や土産物店、ガイドの世話を随所で受け、安全にかつ安価に旅行できた。どっさり土産を買って戻り、餞別をくれたり留守中の面倒を見てくれた人々に配って土産話もたっぷりと聞かせ、その年の旅は終了、また翌年……という具合だ。
 
 このシステムを支えていたのが、寺社側に属する旅のセールスマンともいうべき「御師」だ。参拝シーズンは現地で担当客を迎え、手厚くサービスする。オフシーズンになると全国の参詣講を巡って顔をつなぎ、アフターサービスに努め、客が他の寺社に移らないように気を配った。

 旅をする側のニーズと旅してもらいたい側のニーズが見事に合致して高度な旅システムが構築されていたのだ。お伊勢参りが盛んだったのは、優秀な御師の存在が大きく、全国に伊勢講システムが張りめぐらされていた、ためという。

 かくして、幕末ごろには次のような旅の図式が成立した。
男性はお伊勢参りと、オプションで京都、大阪、金毘羅見物などをチョイス。女性は手軽な江の島での弁財天参りと海の幸グルメ。知識人や武士層はちょっと知的に鎌倉へ、知的興味を満たす歴史ガイド「地誌」も各種あった。

 とはいえ、それなりに費用もかかり危険も伴う江戸時代の旅。生まれた町や村を一生出ないで過ごす人の方が多かった。そんな時代、未知の土地への憧れ、はるばるその地へ到着したときの感激はいかばかりだったろう。テレビもインターネットもない時代の旅がちょっと羨ましい。

(2011.07.23 ビーケーワン投稿 791字)


御師さん、まだ続けていらっしゃる方もいるらしいです。富士講だったかな?テレビで見ました。
顧客の求めに応じてご利益増やしちゃう寺社もあったそう…いいのか!それ!サービスしすぎでしょ!ってツッコミたくなります。江の島では採れたての貝をその場で焼いて食べるのが名物だったらしいんですけど、実は海の中にあらかじめ貝を隠してて、さも今採ったように見せかけてたらしいです…。
そんな、面白エピソードがいっぱい。やっぱり江戸時代モノは楽しいな♪




 
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導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
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