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名作文学いらっしゃいまし
日本の名作文学を楽しむブログです。                                                                                                                                    お江戸本と美術本のレビューも増殖中。
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旗本・川路家の人びと
(平凡社・2001.05)

ちょっと書評をお休みしようかという記事を書きましたが、結局、たいして休みもせずにビーケーワンに書評を投稿しています。
「ですます調」でしばらくやってみることにしました。
フィットしなかったら、また戻すかもしれません。

自分のペースで、のんびり書評ライフを続けていきます。

で、この本は、ま~た江戸本です。離れられない……。まあ、いいか。
ちょっと「えっ?」と思うタイトルですが、内容はとっても愉快。
読む前は、かろうじて名前を聞いたことがあった程度の「川路聖謨」でしたが、すっかりファンになりました♪

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 奇人、と聞くとアブノーマルで、かなりアブナイ人のイメージが浮かぶ。
だが、この本に登場する江戸の奇人たちは、ちょっとヘンテコな、でも愛すべき人々、といったところの意味合いだ。

 今に残る、当時の日記や手紙類から、奇人さんの面白エピソードをご紹介、という趣旨の本書。
記録マニアの旗本や親孝行なお姫様の話題も登場するが、途中からは川路左衛門尉聖謨(かわじさえもんのじょうとしあきら)の日記の紹介がメインとなる。
著者いわく「川路の日記が面白すぎたから……」だそう。

 本書の主人公(?)川路聖謨は、幕末期の代表的な能吏幕臣として、立派な業績を残している。
努力を重ね、低い身分から華々しい出世をとげた例、としてもよく取り上げられる。
新政府軍による江戸総攻撃(予定)の前日に、ピストル自殺を遂げるという衝撃的な最後だった。

 そんな「硬派」なイメージの川路が、こんなに愉快な日記を残していたとは!
特に奈良奉行時代の日記(『寧府紀事』)は、面白い!
日記の大部分は離れて暮らす江戸の母親にあてた手紙として書かれたものだそう。
母親を楽しませようと、とりわけ面白く書いたのだということだが……確かに面白すぎる!

 その内容は、家臣やその家族とのほのぼのとした日常の風景、賢妻を悩ます「げろげろ&ごろごろ」という不思議な病、息子や娘の不出来を嘆いたり、一方では孫を溺愛したり。
最も印象的なのは、用人の幼い娘、おえいちゃんの活躍だ。著者は「抱腹絶倒少女」と表現している!

 家族の結びつきの強さ、長年連れ添った夫婦の会話の絶妙な機微、揺れ動く親ごころ、父母への感謝、等が司馬遼太郎氏も絶賛したという卓越した文章力で綴られる川路の日記。本書は、当時の風俗や幕府の事情などの解説を織り交ぜながら、わかりやすく語りかけてくれる。

 気になるのは、川路の日記の面白さで紙面がなくなり、カットされたであろう、ほかの奇人さんたちのこと。
『江戸奇人伝』続編をぜひお願いしたい。

(ビーケーワン投稿 2012.02.21 836字)


雑誌連載をまとめた本だとのことですが、お客さんを前に講じているような(ちょっとオネエキャラっぽい?)不思議な語り口で進みます。

死別以外の離婚がけっこう多かったこと(川路は四回結婚)、武家の女性も意外と元気で夫にもの申していたこと、江戸時代の奈良の人々は昼寝がお好きだったこと、など様々な発見がありました。

面白いことがあると「みなみな絶倒せし」とよく出てくるのは、昔、流行ったギャグ漫画の「ドテッ」を連想させます。なつかしい。

「わたしは手も目もこんなに達者でしっかりしています!」と母上に見せるため、わざわざお酒を飲んだあとに細かいケみたいな字でぎっしり書いた手紙を送るとしあきらさん……。子供かいっ?

歴史の本だからな、と思って電車の中でうっかり読んだりしてはいけません。
吹き出してしまいます。危険です。




 
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歴史新書y
( 洋泉社・2011.10)

こんな感じで、いつもショヒョってます……。
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引き続き、江戸本です。
これまで「江戸サイコー♪」みたいな書評が多かったわけですが「いいことばっかり」は有り得ない。
ダークサイドも見ておかなければ…ね。

本書は、もと幕臣が語るリアルなバクロ話が満載です。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 人のつながりの強さやエコ社会で注目される「江戸」だが、良いことばかりではなかった。
本書は江戸のダークサイドに注目する。
長きに渡って存続したシステムが、行きつくところまで行き尽くした江戸末期。
当時の官僚・公務員の立場だった、旗本・御家人に何が起きていたのか?

 昌平坂学問所の教官を務めた経歴のある、旧旗本の大八木醇堂は、晩年の明治半ばに、大量の見聞録を書き残した。
そこには「諸種の歴史事典に記されていない幕府の内情や役人社会の細部まで」(153頁)が明らかにされている。
この『醇堂叢稿』を中心に、私的な日記や手紙などから、驚きのエピソードの数々が紹介される。
研究者しか知り得ないような、興味深く貴重なエピソードが一般向けの新書で気軽に読めることは嬉しい限りだ。

 
 醇堂いわく「柳営の制度、百事迂遠に似て児戯に類するか如き事多し」(81頁)。
(振り返れば)幕府の諸制度はなんとも非効率的で遅れていた、いう意味だという。
愉快なエピソードもあるが、武士らしさのカケラも感じられない恥知らずなエピソードがほとんどだ。

 お家断絶を逃れるための出生年齢詐称(万一、17歳までに跡継ぎが死亡すると相続できないため)や、本人死亡後もそれを隠して俸禄を身内が何年も受け取り続けたり、職場での陰湿なイジメから通勤拒否に陥ったり、またはキレて同僚を殺傷したり、平然と賄賂を要求し受け取って恥じる様子もなかったり……。
武士のモラルはいったいどこへ?

 こうした馴れ合いと隠避の慣習は、すべて周りも承知の上だった、という。
醇堂は「内実をじっくり吟味すると、幕府の制度も捨てたものではない。それどころか、実によく考えられているものが多い」とも、書いているそうだが……そうだろうか?
何やら、昨今、社会問題となった事例にそっくりなことばかりで、背筋が寒くなる思いだ。
こんな状態は長くは続かず幕府は滅亡したことを、まさに「末期症状」であったことを、わたしたちは知っている。

(ビーケーワン投稿 2012.01.31 839字)


あの「遠山の金さん」も出生年齢詐称で、実年齢より12歳も「老けていた」のだそう。
勝海舟の父親は道具類の売買をして生活費を稼ぎながらシューカツに励んだけど、実らないまま37歳で家督を息子に譲ったとか。
何年(何十年?)シューカツしたんでしょう……?
酔っぱらいの演技をして権力者の屋敷の溝にわざと落ち、自分を印象づけたヒトもいたとか。もう、何でもアリ。

シューカツが実らずに困窮をきわめ泣き暮らす幕臣がいる一方で、役得で贅沢三昧のヒトも。
よく時代劇にも出てくる、お伴が担ぐ「挟み箱」ってありますよね。
そのふたがしまらないほど(リアルだ!)、ワイロをたっぷりせしめたり……。
逆に「役損」もあったとか。持ち出し。それもヤダよねえ。

「こんなシステム、おかしい!」と考えていた方もいたそうですが、そういう声はオモテには出ないもの。
おかしい。絶対におかしい。でも、言えない。言ったところでムダだしぃ……。そんな感じ?

読めば読むほど、今にそっくり。どうしよう?何を学べばいいのだろう?
ちょっと暗~く考え込んでしまいますが、この本の最初の方にちょっとだけ載っていた「笑える」話は、もう抜群に面白いです。

いろいろあった、それでも、やっぱり江戸が好きです。




 
(新人物往来社・2011.09)

今年のお正月、切絵図ざんまいでした……。
あんまり調子がよくなかったので、ほとんど外出もせず。

年末に図書館でありったけの切絵図関連本を借りてきて比較研究しとりましたワ。
隣りの市の図書館まで出張して10冊近く集めました。

なんたって、面白い!一日見ててもあきません!
「えっ?ここ江戸時代は〇〇采女正(〇〇うぬめのしょう)の屋敷だったの?オヌシも悪よのう」
「はっ?ゴミ坂……じゃ、ここ、地面はゴミなの?」
「げっ!ここ岡場所じゃん!」
「この町名はここから来てるのかあ……」
特に坂道と橋は昔の名残りが多く残っています。

その中で一番、工夫されているな、と感じたのがこの本。
作った方はかなりの切絵図マニアとお見受けします。
「かゆいところに手が届く切絵図本がないっ!」と思って作られたに違いない♪

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 細かな文字でびっしりと書き込まれた、大名・武家屋敷、寺社、町名、通り名、坂道や橋、料理屋まで……。
赤、黄、緑、青、グレーとカラフルな色使い。有名な景勝地はイラスト入り。
江戸時代の切絵図は見ているだけで、とても楽しい。
当時、江戸住民に人気を博しただけではなく、地方への江戸土産としても喜ばれたというのも納得だ。

 切絵図を眺めていると、現在地が切絵図のどこにあたるのか、が知りたくなる。
切絵図は見やすさ重視のため縮尺や方位が正確ではない。特に画面の隅はゆがみが大きい。
そのため現代地図とそのまま重ねると、どうしてもズレが生じてしまう。

 どうやって現在地図とシンクロさせるか。
切絵図関連本はここ数年だいぶ増えたが、この点の工夫がひとつのポイントだろう。

 本書は、見開きの切絵図の上に、現代地図を印刷したトレーシングペーパーを重ねる形式をとる。
あくまで切絵図の表記が優先で、あえて大胆に現代地図を省略することで、とてもわかりやすくなっている。
地域ごとに、特色を押さえた散歩のポイントとお勧めルートが紹介される。
大名・武家屋敷跡、庭園、寺社、老舗等の紹介も簡潔で親切だ。
本を手に、実際に街歩きできるように工夫されている。
ただ、現代地図がだいぶ省略形なので、土地勘がない場合は別に詳しい地図を持っていた方がいいかもしれない。

 都心の主要道路はほとんど江戸から続いていること、もとは堀だった道路がとても多いこと。
寺社はほぼ当時のまま残っていて目印に最適なこと、侍の名前が残る坂道や橋。
町の区割りがそのまま残っているところと逆にすっかり崩れてしまったところ。
現在の繁華街に広がる緑の田畑、下の切絵図は真っ青の海で何もない東京湾岸部の驚くべき変貌……。

 現代のあちらこちらに「江戸」が残っていることがよくわかる。
街歩きはもちろん、時代小説や時代劇のお伴にオススメの一冊。

(ビーケーワン投稿 2012.01.17 802字)


あれ?字数間違えました……。800字以内だと思ったのに。ショボン。

切絵図ブームは一段落しましたが(図書館の返却期限が到来)、さらにマイ江戸ブームは過熱の一方。
しばらく、江戸本ばっかりになりそうです。
尾張屋清七版じゃなく金吾堂近江屋版の切絵図を探索中……。てやんでい。

名作文学……全然、読んでないじゃないよ
読んでいないわけではないのですが、書評につながらないのですよね~。
「看板に偽りあり」状態。ブログのタイトル、変更した方がいいのかな?




 
(新潮文庫・2011.10)

大相撲初場所も終わり、新年気分もすべて終わったなあ、というところですが……。
「江戸帖」によると、旧暦では今日が1月1日なんですよ~!どうしよう?

さて、新年、最初の投稿です!
書評にも書きましたが、この本、昭和派にはやるせない内容でして……。
我が家には子供がいないので、歴史教科書がこんなことになっていようとは、つゆ知らず。
「え?これ別人?」「え?あの戦法はウソ?」「あ、ホントはいい人だったの?」
し、知りたくなかった……と思うことも。
夫に「あれもこれも、後からのでっちあげらしいよ」と教えたら、やや迷惑そうでした。
心の中の土台の石垣が一部、崩落したような気分とでも言うか。
正月早々、ふたりでしんみりしてしまいました。

以下、ビーケーワンに投稿した書評です。


 大和朝廷、士農工商、四民平等……慣れ親しんだことばが現在の歴史教科書からは消えているという。
変わりようがない過去に対する記述が、なぜ変化するのだろう?

 本書は、教科書編纂に直接携わった著者が、昭和47(1972)年と平成18(2006)年の中学生用教科書を比較し、記述の変化をまとめたもの。おおむね三十年で新説が認知されて教科書に反映されるということだ。
人類出現から日露戦争まで、時代順に36項目をあげて、記述の変化とその理由が詳しく説明される。
「この時代の背景と世界の動き」「同時代年表」等のコラムが織り込まれているので、理解しやすい。

 記述が変わった理由はさまざまだ。
吉野ヶ里遺跡、三内丸山遺跡など、新発見による時代観の変化は、ごくまっとうな学問の進歩であると言える。
「鎖国」と「日露戦争」の変化が興味深い。
欧米中心だった昭和時代までの価値観から、アジアへ関心が大きく動いた世界情勢の変化が、教科書の記述にダイレクトにつながっているのだ。
中国、朝鮮、琉球、アイヌ等へ貿易の門戸を開いていた江戸時代は、「鎖国」と呼べる状態ではなかった。
また「日露戦争」の記述には、他のアジア諸国に近代化、民族独立の動きをもたらし、日本人には大国意識と優越感を生んだ、という新たな内容が加わっているそうだ。

 ショックなのは一連の肖像画だ。
お馴染みの聖徳太子、源頼朝、足利尊氏、武田信玄……。
どれも削除されるか、「と伝えられる」の断定を避けた表現になっているという。
ビジュアルの影響は大きい。あのダンディーな頼朝像がなければ、平家や鎌倉幕府の印象もだいぶ違ったものになったのではないだろうか。

 文庫本280頁ほどの読みやすい一冊ながら、過去三十年ほどの学界の動向を一覧できる読み応えある内容だ。
個人的には教科書が「ですます調」になっていることが、一番の驚きだった。
歴史学は進歩著しいのだな、と感嘆する一方で、昭和派としては少々せつない読後感がある。

(ビーケーワン投稿 2012.01.13 837字)


最初にどーゆー経過で「よし、コレ、頼朝像ね」って決めたのよ?とクレームのひとつも言いたくなりますが、いろいろ複雑な事情があるみたいで……。
「コレ、明らかに違うでしょ」ってことになっても、その説を唱えてらっしゃるエライ大御所の先生がお隠れにならない限りは新説出せない、とか、ありそうですよね。おおむね、30年ですか……。
今の教科書も、これから先、変わる可能性大ってことですよね。

最初の方に、知りたくなかった……なんて、書いてしまいましたが、やっぱりこれはオトナとして知っておかないといけないコトでしょうね。
お子さんがいらっしゃる方は、ちょっと教科書をのぞいてみたら面白いかも。

逆に、平成派のヤング(←死語)はどう思うんでしょうね~?




 
今年の手帳……コレにしました!
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江戸美学研究会・編集の『江戸帖』(¥1500)です。
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日々の月の満ち欠け、旧暦日、二十四節気と七十二候が載っています。
本日、1月12日は、旧暦だと12月19日みずのえ申です。まだ、年明けてないんですよ!

二十四節気は天気予報で「今日は冬至です」とか「大寒です」とか耳にする機会がありますが、さらに細かい七十二候はまったく知りませんでした……。
昨日は七十二侯のうち六十八候の「泉水温をふくむ」で、「地中で凍った泉が動き始める」意味なのだそうです。
こんなに寒いけど、もう地中では春の準備が始まってるんだ!面白いですよね、江戸の暦♪
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手帳なのに、こんな読み物ページも。
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季節の行事や風景を描いた浮世絵や版画、面白い家紋、歳時記のような解説が入っていたり。
読む楽しみがある手帳なのです!
月のカタチなんて今まで全然気にしてなかったけど、これからは夜空を見上げる機会も増えそう。

わたしは手帳を日記風に使うタチです。
そしてだいたい、三日坊主になります(昨年は5月であえなく……)
これなら、続く……かな?




 

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導在 あわい

Author:導在 あわい
ドーザイ アワイ と申します。
ワケあって時間がたっぷり。いつかは読みたいと願っていた名作の数々…いますぐ、読むことにしました!
名作以外もどしどし読む予定。
楽しい読書録を目指します。

日本の名作 (20)
古典 (3)
明治の名作 (5)
大正の名作 (3)
昭和の名作 (8)
平成の名作 (1)
一般書 (40)
美術 (10)
歴史 (19)
文章修業 (2)
名作のほとり (3)
そのほか (6)
文学の旅 (2)
博物館&美術館 (7)
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日本の名作 リスト (0)
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TRCブックポータルに書評を投稿しています(2013.01~)。
ハンドルネームは*導在あわい*です。
「TRCブックポータル」は2016.03をもって運営終了されました。

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また、2012.12までの書評は書籍と電子書籍のハイブリッド書店【honto】(旧;オンライン書店ビーケーワン)でも閲覧可能です。
当時のハンドルネームは*辰巳屋カルダモン*です。
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書評の鉄人*に選ばれました。
bk1-00232(2011.08.19付)
* 第297回 書評の鉄人列伝 で紹介されました(2011.09.30付)。

自分なりのルールを考えました。
こちらをご覧ください!


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